渋治の書庫

渋治の書庫

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2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

右手

右の犬歯がどうも最近ぐらついてきた。それだ から飯を食う時にそ奴がグラグラして何とも頼り な気で、いっそもいでしまおうかとも考えるのだ が、一度そ奴を捻ってみたところまだその時期で ないことをそ奴は 「ぶきっ」という悲鳴で教えてくれた。だが私は…

ねんねん坊やの子守唄

ねんころ ねんころ ねんころりん ねんねん ころりん ねんころりんねんねん坊やは ウワバミの口 かあさんそれ見て 腰抜かす はぜの木止まって 目をこらすお次は何を食わしましょ お次は何を食わしましょねんころ ねんころ ねんころりん ねんねん ころりん ね…

地団駄

私はこんな風体だったか。 私はこんな風になる為 に生まれてきたんではないはずだ。見よ、この憐 れな姿を。皮膚は擦り切 れ所々腫れ上がっている ではないか。私の顔はこんなんではなかったぞ、 私の顔はもっと面長でキリリとしていたはずだ。あぁ、悲しい…

眠る子

うつらうつらと 闇夜に浮かぶ 白い着物が ゆらゆらするよ ゆらゆら着物は 摺り足で 障子の向こうの 仄明かり 薄目を開ければ 鬼笑う 屈めた腰に 大きな舌 固く閉じれば ぞろりと撫でる 開けば地獄 鬼の舌 鬼の舌

宿無し女のブルース

あたいは宿なし。 それはあたいが望んだこと 誰に文句もありゃしないさね。あたいはそれで、じめじめしたこの都会の片隅が大層気に入っておりましてね、いいこともそうでないこともそりゃ色々ありますがね、すべて水に流してなんとかやっとります。時に 心根…

時には

時には… 来世 あの世 まだあるのかこの先がいつか、 どこでもよい、 どんなでもよい、終わり というものが あれば 救われる それが あるから 生きられる生きるに 意味はない 追求すれば 切りがない ましてや ただ全てが 運命(サダメ)なら あがいても もがいて…

小鳥

小鳥 小鳥とゆう名の 小鳥がおりました小鳥とゆう名は このおうちの ぼっちゃんが おつけになりました小鳥という名の小鳥に 親はおりません 小鳥とゆう名の 小鳥の親は とうのむかしに 死にました とうのむかしの ことですから 小鳥とゆう名の 小鳥は なにも…

五行歌 

-写 真- 写真に写らない理由 魂を抜かれるから 写真に写る理由 葬式用 あなたらしくて涙出る -風 邪- 発熱、寒気、頭痛 鼻水、鼻詰、喉痛 咳、肩凝り、耳鳴り 倦怠感、食欲不振 あと少しで良くなる -八 朔- はっさく はっさく はっさくを 三つ食べたら…