渋治の書庫

渋治の書庫

メンテ中

キレイナモノ

せせらぐ川も

空の透ける青葉も

少し冷たい風も

くるくる回る花びらも

やわらかな笑みも

あたたかいベッドも

また明日の白い掌も

いつかも

そのうちも

大丈夫も

健康も

よくおやすみも

希望の扉も

期待のリボンも

夢のつゆも

あれも

これも

なにもかもいりません

そんなものがあるから

ここから出ていけないのです

そんな

あるようなないようなものがあるから

私という人間は

鉄格子に囲われた

錆び付いた窓の

あの小鳥を

見殺しにするしかなかったのですから

神様

神様

本当のことを教えてください

私はあの星の一つに

願いをかけてもよいのでしょうか

あの

キレイナモノに

手を伸ばしてもよいのでしょうか

ふつと

消えてなくなるのではないですか

そんなもの

あるわけないだろうと

また

羽をもぎ取られるのではないでしょうか

いつになったら

私はここから出られるのでしょうか

あの小鳥のように

見殺しにされてしまうのではないでしょうか

はたして

私に羽はあるのでしょうか