渋治の書庫

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メンテ中

2022-01-01から1年間の記事一覧

絆創膏

そのささくれを唇に刺してなんとか生きています。 可哀想だとか、悲しいだとか思わなくてよいのです。 あなたがそんな顔をすればするほど、ああ、やっぱり絆創膏を貼っていれば良かったと思ってしまうのですから。 ああ、またそうやって頭のてっぺんで私をみ…

繊維

赤と灰色の繊維の隙間に人差し指を突っ込むと見える景色を見たくて今日も私はここにきた。けれど、間もなく音をたてて飯を食らう奴が母のコートに腕を通す時間だろうから。私と一滴とも交わらぬ血の持ち主がなぜそこにいるのかが未だわからないのだが、毛む…

雨の日の歌

あ~めのひ あ~めのひ うれし~いね~ あ~めのひ あ~めのひ た~のしいね~ 赤い 長靴 履きたいね みずたまり ぱちゃ ぱちゃ やりたいね お気に入りの 赤い傘 さしたいね 雨粒 くるくる 飛ばしたいね あ~めのひ あ~めのひ うれし~いね~ あ~めのひ あ…

キレイナモノ

せせらぐ川も空の透ける青葉も少し冷たい風もくるくる回る花びらもやわらかな笑みもあたたかいベッドもまた明日の白い掌もいつかもそのうちも大丈夫も健康もよくおやすみも希望の扉も期待のリボンも夢のつゆもあれもこれもなにもかもいりませんそんなものが…

橙のなる頃には

橙のなる頃には さとこは男勝りだから仕方ないですね。そういって私の体をひとくくりにしてしまう人のことは小指の隙間に落とし込むようにしてきました。ただ、あのキラキラしたものがあなたの好むものなら、あのキラキラしたものの反対側にいってやれという…