渋治の書庫
そのささくれを唇に刺してなんとか生きています。 可哀想だとか、悲しいだとか思わなくてよいのです。 あなたがそんな顔をすればするほど、ああ、やっぱり絆創膏を貼っていれば良かったと思ってしまうのですから。 ああ、またそうやって頭のてっぺんで私をみ…
赤と灰色の繊維の隙間に人差し指を突っ込むと見える景色を見たくて今日も私はここにきた。けれど、間もなく音をたてて飯を食らう奴が母のコートに腕を通す時間だろうから。私と一滴とも交わらぬ血の持ち主がなぜそこにいるのかが未だわからないのだが、毛む…
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