2017-01-24 繊維 赤と灰色の繊維の隙間に人差し指を突っ込むと見える景色を見たくて今日も私はここにきた。 けれど、間もなく音をたてて飯を食らう奴が母のコートに腕を通す時間だろうから。 私と一滴とも交わらぬ血の持ち主がなぜそこにいるのかが未だわからないのだが、毛むくじゃらな四本足が良いなら良いのかなと。 壁にぶら下がった私の体はやがて夏の風にさらわれてしまうのだから、何を言っても始まらないし終わらない。 けれど、これだけは伝えて欲しい。 干し柿を食べたのは私ではないと。