渋治の書庫

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メンテ中

五行歌

   -梅日和-

 
 船頭さんは
 流します
 あたしとあの人の
 儚かないひとときを
 梅香に乗せて
   



   -背中-


その広い背中
抱きしめずに
いられない
少しだけ
もう少しだけ
 



 -木漏れ日-


 縁側に
 布団と三毛と
 おまいさんがいる
 チラチラ木漏れ日
 しあわせよ
 


 
 -夜 道-


 走って 走って
 走ったよ
 夜道をね
 一人でね
 ひたすらね
 
 
 


 -待ちぼうけ-


 白い月 大きな月
 あたしはいつも
 待ちぼうけ
 けれども嬉し
 待つは恋しい人だもの
 
 
 


 -逢い引き-


あの日
永遠とも思える別れを
二度と繰り返しはしない
もうすぐ行くよ 
もうすぐだよ 
 



 ―雨―


 静かな
 静かな
 この時を
 目を閉じ耳閉じ
 過ごします
 



 ―雨 粒―


 ぽつん
 ぽつりん
 ぽつ ぽつりん
 鉄の格子に
 ぽつ ぽつりん
 



  ―涙 雨―

 今日も涙の
 雨が降る
 懺悔と詫びと後悔の
 枕噛み締め
 声殺す
 
 
  


 ―雨上がり―


 ふと見上げた
 明かり取りの窓
 雀が一羽
 毛繕い お前も生きてんだなぁ 






  -咲けば幸(長話)-


誰かのため
何かのため
そうやってきて
振り返る道に
黄色い花でも咲けば幸
 
誰かのため
何かのため
そうきて
振り返る道に
何もなくとも幸


あれも自分
これも自分
何かを見つけ
見つけず
それに気付けば全て幸


かけられた声
かけられた腕
かけられた毛布
かけられた思い
それに気付けば幸
 
 
見上げれば天
下を向いて地
右みて左みて
何かに気付けば幸





 -センタクモノ

センタクモノ
カゼニユレテイマス
シャツガブラウスニ
チャチャヲイレテイマス
カゼヨモットフケ


 


 -あなた-

おまえのためだと
あなたはいう
あなたのためと
あたしはいう
ただすきなだけなのに


花をみれば花に
雲をみれば雲に
タオルの隅に
爪楊枝の先ちょに
あなたが見える








 *五行歌-五行に込める歌